中小企業診断士の試験概要について

中小企業診断士の試験概要をチェック

中小企業診断士の資格試験は、1次試験と2次試験と試験が2段階に分かれていることが特徴です。

1次試験は短答式試験のみですが、2次試験は筆記式と口述式の試験に分かれており、筆記・口述で試験開催日も異なることから、厳密に言うと3段階の構成であると言えます。

試験構成からも見て取れる通り、中小企業診断士の資格試験は内容が幅広いことが特徴です。試験の段階によって求められる能力も異なることから、中小企業診断士試験全体を通して、暗記力・理解力・判断力・応用力と総合的な実力が試されることになります。

まずは各試験の概要チェックして、効率的な勉強法を確立するためのヒントにしましょう。

1次試験の概要

中小診断士に必要な知識を身につけているかどうかを判断するための試験が1次試験となっています。

試験実施日

8月上旬に2日間実施されます。

受験資格

制限なし

出題形式

マークシート形式のため、主に暗記力と理解力が試されることになります。

合格基準

全体で60%以上の得点を取得すれば合格だが、得点率が40%未満の科目があった場合には不合格となります。ただし、3年間有効な科目別合格制度もあり。

試験科目

計7科目から出題されます。

経済学・経済政策
  • 出題目的:中小診断士としての外部環境分析の力を身につけること。
  • 出題範囲:ミクロ経済学/マクロ経済学(国民経済計算の基本的概念/主要経済理論/主要経済指標の読み方/市場メカニズム/消費者行動と需要曲線/企業行動と供給曲線/市場と組織の経済学/国際収支と為替相場/財政政策と金融政策/産業組織と競争促進など)
  • 科目免除対象者:大学等の経済学の教授・助教授(通算3年以上)/経済学博士/公認会計士試験第二次試験合格者(旧公認会計士の合格者含む)/不動産鑑定士(不動産鑑定士試験合格者含む)/不動産鑑定士補(不動産鑑定士補試験合格者含む)など経済学に精通している方が対象です。
  • 科目合格者率:25%前後で推移しています。
財務・会計
  • 出題目的:中小診断士として必要な、資金の流れ・会社の経営状況・投資に関する判断能力などを身につけること。
  • 出題範囲:アカウティング/ファイナンス(簿記の基礎/企業会計の基礎/経営分析/原価計算/利益と資金の管理/キャッシュフロー/資金調達と配当政策/企業価値/投資決定/証券投資論/デリバティブとリスク管理など)
  • 科目免除対象者:公認会計士(公認会計士試験の合格者含む)/会計士補(会計士補となる有資格者含む)/税理士/税理士試験合格者/税理士試験免除者は財務・会計の試験を免除できます。
  • 科目合格者率:年度によって大きく差があり、10%以下の年もあれば35%を超える年もあります。
企業経営理論
  • 出題目的:中小企業診断士としての基礎知識、他の科目の知識を有効に活用するための能力を身につけること。
  • 出題範囲:経営戦略論/組織論/マーケティング論(企業戦略/経営資源戦略/成長戦略/競争戦略/技術経営/国際経営/経営計画・管理/経営組織の形態と構造/経営組織の運営/人的資源管理/マーケティング計画と市場調査/流通チャネルと物流/消費者行動/製品計画/価格計画/プロモーションなど)
  • 科目免除対象者:企業経営理論の科目免除対象はありません。
  • 科目合格者率:年度によって大きく差があるものの、2017年度・2018年度は10%以下で推移しています。
運営管理
  • 出題目的:中小企業診断士としての生産管理や店舗・販売管理能力を身につけること。
  • 出題範囲:生産管理/店舗・販売管理(生産管理概論/生産のプランニング/生産のオペレーション/流通情報システム/店舗・商業集積/商品仕入・販売(マーチャンダイジング)/商品補充・物流など)
  • 科目免除対象者:なし
  • 科目合格者率:例年10%前後で推移していたものの、2018年度は約25%まで上昇しています。
    経営法務
    • 出題目的:中小企業診断士として、企業経営を行なっていくうえで必要な法律知識を身につけること。
    • 出題範囲:民法/会社法/金融商品取引法/倒産法制/知的財産権(事業開始・会社設立及び倒産等に関する知識/知的財産権に関する知識/取引関係に関する法務知識/企業活動に関する法律知識/資本市場へのアクセスと手続など)
    • 科目免除対象者:弁護士(司法試験合格者、旧司法試験2次試験合格者)など法務関係を専門とする方は経営法務の試験を免除可能です。
    • 科目合格者率:5%前後と低い水準で推移しています。
    経営情報システム
    • 出題目的:中小企業診断士として、企業のIT化を促進するための知識を身につけること。
    • 出題範囲:情報通信技術に関する基礎的知識/経営情報管理(情報処理の基礎技術/通信ネットワーク/データベースとファイル/システム性能/経営戦略と情報システム/情報システムと意思決定/情報システムの運用管理/情報システムの評価/情報システムの開発/外部情報システム資源の活用など)
    • 科目免除対象者:技術士(情報工学部門登録者に限る)/情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者/指定のIT系資格試験合格者(システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開発、第1種、情報処理システム監査、特種、ITストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技術者)は経営情報システムの試験を免除可能です。
    • 科目合格者率:年度によって大きく差があるものの、2017年度・2018年度は25% 前後で推移しています。
    中小企業経営・政策
    • 出題目的:中小企業診断士として、中小企業支援施策の普及者としての役割を果たすための知識を身につけること。
    • 出題範囲:中小企業経営/中小企業政策(中小企業の経営特性と経営課題/経済・産業における中小企業の役割や位置づけ/中小企業政策の役割と変遷/中小企業に関する法規と政策など)
    • 科目免除対象者:なし
    • 科目合格者率:例年10% 前後で推移していたものの、2018年度は約23%まで上昇しています。

    難しいポイント

    出題範囲が広いうえに、「得点率40%未満の科目があった場合には不合格」という制限があるため捨て分野を作るのが難しく、すべての科目についてまんべんなく知識を身につけなければいけないのが難しいポイントです。

    また、すでにいくつかの科目に合格しており、科目免除対象者に該当している場合でも、科目免除にはメリットとデメリットが存在するので要注意。

    科目を減らすことによって勉強範囲を絞れるといったメリットがある反面、得意科目で得点を稼ぐことができなくなります。科目免除を利用する際にはどのように全体の得点率を伸ばすかを検討する必要があります。

    中小企業診断士の資格は1年以内に合格する人の割合は3割以下。合格者の中でも、4年以上かけて合格したという方も15%以上います。かなり得意な科目があるという方は、試験料はかさみますが科目免除は利用しないのがおすすめ。逆に、すべての科目の点数が均一または、かなり苦手な科目がありなかなか4割取れないという方は、科目免除を利用して苦手科目に集中するというのが良い戦略だと言えます。

    2次試験の概要

    4つの試験科目の中から企業の事例が提示され、問題に合った判断能力を身につけているかどうかを判定するための試験です。「課題解決を提案する」2次試験の内容から、中小企業診断士=経営コンサルタントと言われています。

    1次試験の7科目を合格した方が2次試験へ進めます。2次試験では4科目の筆記試験をクリアしたら、口述試験を受ける流れになっています。

    試験実施日

    筆記試験は10月下旬、口述試験:12月中旬に実施されています。

    受験資格

    筆記試験は中小企業診断士1次試験合格者、口述試験は中小企業診断士2次筆記試験合格者が対象です。

    出題形式

    筆記試験:100文字前後での記述式、口述試験:面談式

    筆記試験・口述試験ともに迅速かつ的確な判断により、中小企業診断士としての知識を有効活用できるかを試されることになるので、理解力はもちろんのこと判断力や応用力も試されることになります。

    合格基準

    各試験において、総得点60%以上で合格。ただし、2次試験は得点が「A〜D」の4段階評価となっており、ひとつでもD判定のものがあれば不合格となります。

    試験科目

    • 出題目的:中小企業診断士として必要な応用能力を身につけること。
    • 出題範囲:筆記試験は中小企業の診断及び助言に関する実務の事例(組織・人事/マーケティング・流通/生産・技術/財務・会計の4分野)、口述試験は筆記試験科目問題からランダムで出題
    • 科目免除対象者:なし
    • 合格者率:20%前後です。

    難しいポイント

    2次試験の内容は模範解答が公開されません。また、毎年の合格者率が20%前後を推移していることから、2次試験の得点は相対的に評価されているのではないかと言われています。

    そのため、「例年だったら合格基準に達していたけれど、今年は優秀な解答が多かったから不合格」なんてこともあり得るのが2次試験の難しいポイントです。

    筆記試験

    筆記試験は「コンサルタント」として問題の本質を理解し、論理的思考をもとに問題解決を提案しているかが問われます。時間内に定められた文字数で相手に分かりやすく伝わるようまとめる作業は、実務に近い内容と言えるでしょう。

    難易度の高い試験内容ですが、中小企業診断士としてデビューした後を考えると、試験勉強でロジックを習得しておく必要があります。ただし、自身の経験や思い込みをもとにした、自己流の答え方を書くのは禁物です。あくまで「コンサルタント」の立場で、事例の企業はどういった課題を抱えているのか確認しましょう。

    口述試験

    口述試験は3対1の面談形式で行われます。筆記試験で出題された事例に関する質問を受けますが、資料を一切見ることはできません。4つの事例のうち1事例から数問、2事例から1問など、出題される問題はランダムかつ方法もさまざま。記述試験の内容を十分に理解しておく必要があります。

    気をつけたいポイントは、口述試験の受験資格は1次試験を合格した年のみ有効という点です。「今回駄目だったから来年頑張る」といったことはできません。ただ合格率は99%以上と高く、企業の強みや課題を把握していれば合格できるはずです。

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